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優秀な人材を見つけるには

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」のMBA Mondaysというシリーズの投稿を翻訳したものです。今回は先週ご紹介した、人材に関するシリーズの第1弾「カルチャーフィットとは」に続く、第2弾「優秀な人材を見つける方法」についてご紹介します。


起業家は、自分の会社にフィットした、才能ある人材をどこで見つけるかという問題に頭を抱えます。自分の会社で働いてほしいと思うような人材は多くいるわけではないし、そんな人材が求職中であることも稀です。優秀な人材を見つけるには、自ら足を運んで彼らを探し出し、自社チームの一員になってもらえるよう働きかけなくてはなりません。ですが、どこを探せばいいのでしょうか。

その方法について、ここにいくつか提案したいと思います。

1) 自分やチームメンバーの知り合いに目を向けましょう。これは最も分かりやすい方法である一方、才能ある人材を見つける最良の方法でもあります。自分が採用した人全員に対し、仕事の初日に、「君が今まで一緒に働いた人の中で、是非ともまた一緒に働きたいと思う、最も才能ある人物は誰かな?」というような質問をする起業家がいます。そして彼は、その人物の名前を会社の採用候補者リストに加えるのです。最強のチームを作るために必要なのは、優秀な人材を見つけ出すためのこのような努力です。

2) ライバル企業で働く人に目を向けましょう。私はよく起業家たちに、競合を意識しすぎだと言います。そして、ライバル企業を研究する時間をもっと減らし、自分の会社の事業計画により多くの時間を費やすべきだと伝えています。しかし、競合を意識し続けることが報われる場合もあります。もしあなたの目を引くような優れた営業力を持つ人物や、競合に貢献し続けている商品開発の才能がある人物を見つけたとしたら、今の職を離れてあなたの会社で働くよう誘ってみるべきです。競業避止の問題が生じるかもしれませんが、実際はきちんと作り込まれた内容でない限り法的拘束力を持たないし、多くの場合、そんな風に作り込まれてはいないものです。

3) 最近買収された企業に目を向けましょう。ある会社が買収されると、その会社は忙しくなります。買い手はこのことを知っていて、優秀な従業員を缶づめにして働かせます。しかし、買収にあたって妥当な報酬をすでに得たこと、働きづめの日々が報われるのには少し時間がかかること、そして、大きくてスピード感の無い堅苦しい企業で働くことへの不安が合わさると、会社を辞めるのに十分な理由となり得ます。買収された企業があったら、その企業で優秀な人材は誰かを見極め、目を光らせておきましょう。彼らを手に入れるには少し時間がかかるかもしれませんが、それでも働きかけ続けることです。時が経てば、彼らに手が届くでしょう。

4) 他の地域や他の国に目を向けましょう。もしあなたがニューヨークやシリコンバレー等、非常に競争の激しい地域で事業を行っているなら、この方法に特に注目すべきです。優れた人材は大抵近くの大企業に囲い込まれてしまっています。我々の投資先には、他の地域あるいは他の国で働く非常に優れた才能を持つ人々を見つけ出し、ニューヨークやサンフランシスコに引っ張って来ることに長けた企業があります。Stack OverflowBehance(どちらもUSVの投資先企業)、DribbbleGitHub等で優秀な人材を見つけるのです。他の地域で働いている人を採用するなら、多くの場合、金銭的なインセンティブで移住のハードルをなくし、配偶者の仕事探しを手伝う等の配慮をする必要があります。また、他の国で働いている人を採用するなら、これらに加え、入国に関する手続きが必要です。これらは骨が折れる作業ですが、自分の会社に適した人材を雇うためには行う価値があります。

5) 大学に目を向けましょう。大学を卒業したばかりの若い人材だけで会社を回すことはできません。経験豊富でマネジメントスキルがある人材がチームには必要です。しかし、ベテランの人材を、キャリアを築き始めたばかりの人材で補強することはできます。そして、全員が仕事を探しているという才能の溜まり場が大学4年生です。私は90年代にある企業に投資しました。そこでは高給取りの営業陣は仕事ができず、自社製品を販売できないでいました。すると、その企業のCEOは営業陣を一掃し、その代わりに頭が良く、職業経験が無い新卒の人材を採用しました。ハングリー精神旺盛な、根性のある若者たちです。その結果、業績は改善しました。この方法はどの企業でも効果的というわけではありませんが、この企業では確かに上手くいったのです。大学を出たばかりの若い人材が、正しいマネジメントの下で力を発揮すると、驚くべき結果を招くことがあるのです。

新卒人材の採用に力を入れたいなら、雇用前にあなたの会社で働けるよう、学生向けのインターンシップ・プログラムを企画するとよいでしょう。これには、様々なやり方があります。我々の投資先の1つは、学生に対し、大学4年生の間に週10時間会社で働く機会を与えています。そして彼らが卒業する際に、最も優秀な人物にフルタイムの職を与えるのです。また、優れたサマーインターン生をあなたの会社に迎えることができる、HackNYというプログラム(*コロンビア大学とニューヨーク大学の教員によって設立された、学生エンジニアのためのハッカソンやフェロープログラムを提供するコミュニティ)も存在します。

6) 自分の会社が属する市場の大企業に目を向けましょう。この方法は少しばかり危険です。大企業には大した仕事もせず給料をもらっているような人間がたくさんいるし、そんな人間を雇いたくはないでしょうから。しかし実際のところ、 Google、eBay、Yahoo、そしてそう、Facebookのような会社が大きくなると、根性があり仕事の速い起業家タイプの人材にとっては適した場所ではなくなります。昔から働いていた人には、居心地が悪くなり、会社を辞める人もいます。こういった企業で3年以上働いた人材に目を向けるとよいでしょう。なぜなら、その頃には彼らはすでにSOの大半をベスティングされているため、(有能な社員の転職を防ぐための)特別優遇措置の恩恵もなくなってきているはずだからです。

7) 投資家に目を向けましょう。ベンチャーキャピタルにおいても変わりないのは、何はともあれ彼ら自身も採用担当者であるということです。USVでは、何かしらの採用業務が行われずに1日が過ぎるということはありません。職探しをしている人々がよくやって来て、仕事を探していると我々に伝えると、我々は全てのネットワークを通じてその人物が優秀だという情報を得ます。その後彼らに連絡を取り、ランチに誘い、話を聞きます。そして、私たちが出会った優秀な人材は全員、我々の投資先で、彼らがフィットすると思われる企業に紹介します。もし投資家が人材発掘の手助けをしてくれていないなら、彼らが仕事をしているとは言えません。

以上、優秀な人材を見つけるために目を向けるべきものを紹介しました。そういった人材が簡単に見つかるとは思わない方がよいでしょう。多くの代表が採用という仕事をフルタイムの職にしているぐらいなのです。もしあなたが採用業務をフルタイムで行うことができないとしても、毎日取り組まなくてはなりません。そして、常に頭に入れておくことです。戦略とプロセス、そしてそのプロセスに注力することが必要です。忍耐強く取り組んでいれば、その努力が実る時が来るでしょう。


シリーズ第3弾「Optimal Headcount At Various Stages」の翻訳記事は、3/18(月)に投稿予定です。Coralの投資担当者や採用担当者にご相談したい方は、お気軽に問い合わせフォームよりご連絡ください。

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