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バーンレートはいくらが妥当か

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」より、前回の投稿「バーンレート」に引き続き、今回は「バーンレートはいくらが妥当か」についてご紹介します。


先週のバーンレートの投稿に対し、私たちのポートフォリオからいくつかバーンレートを紹介して欲しいというコメントをいただきましたが、それはできません。代わりに、それぞれの段階における妥当なバーンレートについて書いてほしいという意見もありました。それなら可能なので、今日は妥当なバーンレートはいくらなのかということについて投稿したいと思います。

以下のことはソフトウェア事業、特にウェブやモバイルソフトウェア事業に当てはまります。ハードウェア、ライフサイエンスおよびエネルギー系のスタートアップには当てはまりません。さらに、これは米国のスタートアップに焦点を当てています。米国外では、より少ないコストでチームを雇える地域がたくさんあります。(訳注:米国と日本のエンジニアの給与にはおよそ2〜3倍の差があると言われています。)

プロダクト開発段階

この段階ではバーンレートを月5万ドル以下に保つことを強く推奨します。ほとんどのMVPは3、4人のエンジニアと、プロダクトマネージャー、そしてデザイナーからなるチームがあれば開発可能です。賃料やその他の費用を加えると、1か月あたり約5万ドルになります。7万5千ドルあたりの、もう少し高コストのチームも見たことがあります。しかし、コストがその範囲に達してしまうと、この段階にふさわしくない速さでキャッシュを使ってしまうことになります。

ユーザー拡大段階

この段階ではバーンレートを月10万ドル以下に保つことを推奨します。この段階は製品のリリース後であり、イテレーションをまわし、ユーザー数増加のためにシステムをスケールし、新規ユーザー獲得のためにマーケティングをするときです。その実行には、製品を開発したチームにさらに数名のエンジニアとコミュニティマネージャーが必要で、そして様々なことにもう少し資金が必要になる可能性もあります。

事業構築段階

これはプロダクトマーケットフィットしたと確信して、その製品やサービスに関する事業を構築したくなるときです。経営陣や収益管理チーム、そして財務担当者を雇い始めます。収益を、そしていずれは利益をもたらしてくれるチームに対して投資をするときです。この段階ではバーンレートを月25万ドル以下に保つをことを推奨します。

おすすめの経験則として、バーンレートを従業員数掛ける1万ドルで計算するやり方があります。これは従業員の給与額ではなく、賃料やその他の諸経費を含めた1人あたりの「完全負担」コストです。この係数を使うと、上記3つの発展段階において私が提案するチーム人数は、それぞれ5人、10人、25人になります。

事業が利益を生むようになったら、事業需要に応えるためにチームをもっと拡大することができます。私はこの種の支出については「バーンレート」ではなく「チーム拡大費用」だと考えています。この段階では、必要な人数を決定するためにはボトムアップ方式の予算編成をしたくなるはずです。

最後に注意点ですが、これには例外があります。Twitterは第2段階において、スケールのために巨額のコストが必要になったときがあり、私の推奨よりも高いバーンレートになっていました。そしてFacebookも、編成した収益チームの規模や事業のその他の必要経費で、事業構築段階のバーンレートが高額でした。商機によっては、高いバーンレートを正当化しその資金を得るのに十分な場合もあります。我々が犯しがちな過ちは、自分たちの会社の多くが例外であると思ってしまうことです。月100万ドル以上のバーンレートを正当化できる会社はほんの一握りしかありません。それが可能だと思って、消えてしまった会社のほうがもっとたくさんあるのです。

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Editorial Team / 編集部

Coral Capital

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