Coral Capitalは、創業パートナーの澤山陽平によるシードファイナンス勉強会「#CoralSchool」を毎月開催しています。勉強会の内容は動画で全4回にわけて配信中ですが、時間がない人のために各回3分x5本で読める形で内容をお伝えします。第1回のテーマは「ベンチャーキャピタルとは?」です。
【シリーズ目次】
第1回:ベンチャーキャピタルとは ※本記事
第2回:株式による資金調達の仕組み
第3回:EXITの際の利益分配の仕組み
第4回:投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み(前編)
第5回:投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み(後編)
スタートアップとは短期の急成長を目指す起業の一形態
ベンチャーキャピタル(VC)はスタートアップに出資するビジネスです。では、スタートアップとは何でしょうか? スタートアップとは起業の中の特殊な一形態で、短期の急成長を目指す組織です。
爆発的な急成長を前提とした起業でなければ、VCは出資できません。その理由を次にVC側から見てみましょう。
VCは投資家からお金を集めてスタートアップに投資する会社
VCとは、簡単にいうと「投資会社」です。投資家から預かったお金をスタートアップに投資しています。
私たちCoral Capitalは、機関投資家や事業会社、個人投資家から約120億円を集めています。このお金を増やして、投資家に返す約束をしているのです。
VCにお金を預ける投資家の思惑はさまざまです。余っているお金を運用したいこともあれば、スタートアップの情報が欲しいということもあります。
VCが期待されるリターンは「10年で3〜5倍」
投資家の運用先としては債権や株式などがあり、それらの投資商品のひとつとしてVCも存在しています。
債権(bond)や株式(equity)はリターンとリスクの振れ幅が小さく、期待されるリターンは数%程度です。
一方、数ある投資商品の中でもハイリスクなVCは、投資家から1年間で15%以上のリターンを期待されています。これを毎年複利で増やしていくと、10年後は3〜5倍という計算になります。
Coral Capitalは投資家から120億円を集めているので、10年後に360〜600億円にして返すという、暗黙のプレッシャーを受けているわけです。
大当たりするスタートアップは投資先の5%
VCが投資するスタートアップは、ハイリスクハイリターンの極みのような存在です。ハイリターンの好例はFacebookですが、大多数は失敗するか、小さなリターンにとどまります。
Coral Capitalの前身である米国の500 Startupsの実績を振り返ってみると、シード期に投資したスタートアップは、シリーズAの段階で4分の1に減っていました。
最終的に100億円以上の時価総額が付いた投資先は5%くらいでした。
投資家からハイリターンを求められるVCは、時価総額が100億円以上付くようなスタートアップを狙う必要があるのです。
VCは超ハイリスク・ハイリターンのビジネスモデル
VCの投資スタイルはハイリスクハイリターン狙いなので、50社に出資して49社が失敗したとしても、1社が大成功してくれればよいとも言えます。
500 Startupsのファンドの出資先で、時価総額100億円を超えたのは5%でした。大当たりするスタートアップが20分の1の確率と仮定すると、ファンド全体で5倍のリターンを出すには、1社が100倍に成長しなければなりません。
だからこそVCは、すべての投資先にものすごい成長を求めます。私たちが投資するシード期のスタートアップのバリュエーションは1〜3億円が多いのですが、その金額がざっくり100倍くらいになることを期待しているのです。
VCとはこのような超ハイリスクハイリターンのビジネスモデルを取っています。だからこそ、たくさんの失敗を許容できます。
逆に言えば、100倍以上に成長する可能性がある会社だけが、(シードステージで)VCから投資を受けられるし、そうした会社だけが出資を受けるべきなのです。
(*)資料の一部は https://www.slideshare.net/takaumada/startup-paradox-thinking から引用させていただきました
次回(第2回:株式による資金調達の仕組み)に続きます。
Founding Partner @ Coral Capital