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【3分で解説】EXITの際の利益分配の仕組み シードファイナンス勉強会(3)超要約

Coral Capitalは、創業パートナーの澤山陽平によるシードファイナンス勉強会「#CoralSchool」を毎月開催しています。勉強会の内容は動画で全4回にわけて配信中ですが、時間がない人のために各回3分x5本で読める形で内容をお伝えします。第3回のテーマは「EXITの際の利益分配の仕組み」です。

【シリーズ目次】
第1回:ベンチャーキャピタルとは
第2回:株式による資金調達の仕組み
第3回:EXITの際の利益分配の仕組み ※本記事
第4回:投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み(前編)
第5回:投資契約書&J-KISS(コンバーティブル)の仕組み(後編)

VCがスタートアップに投資する理由は、EXITしたときに投資を回収するためです。

だからこそ、EXITしたときにどのように利益分配するのかが、ものすごく重要になってきます。

普通株式の利益分配の仕組み

まずは利益分配が簡単な普通株の話から。

ある会社の株式を起業家が80%、投資家が20%持っているとします。その会社が10億円で売れた場合、投資家には2億円、起業家には8億円が分配されます。

単純に株の持分比率に応じて買収金額を分けるのが普通株の利益分配です。

投資家から見た普通株のリスク

普通株は会社が高く売れればハッピーなのですが、問題なのは、その会社が安くしか売れないケースです。

起業家は安いお金で大量の株を持っているので、例えば会社が2億円でしか売れなくても、ある程度は儲かります。一方、投資家は投資金額よりも安く売れてしまうと損をしてしまいます。

そこで、起業家と投資家のリターンとリスクを調整するために生まれたのが「優先株式」です。

優先株式の利益分配(2倍・参加型の場合)

優先株にはさまざまな仕組みがあり、たとえば「2倍・参加型」という分配方法があります(編注:日本の実務でのスタンダードは1倍・参加型ですが、ここでは説明をわかりやすくするためにあえて2倍・参加型のケースを取り上げています)。

時価総額5億円の会社(起業家が80%、投資家が20%の株を保有)が10億円で買収されるケースを見てみましょう。

投資家が1億円を出資している場合、まず出資金額の2倍(2億円)を先に返してもらいます。これを「優先分配」と言います。

残りの8億円は、普通株と同じように持分比率の8:2で分けます。優先分配を受けたあとに、普通株主と一緒に利益分配するので「参加型」と言うんですね。

このケースで投資家が受け取る金額は、優先分配の2億円に加えて、8億円の20%である1.6億円。合計3.6億円になります。

普通株と比べると、投資家の受け取る分が増えました。ただ、優先株が一番有効なのは買収額が低い場合です。

優先株式の利益分配(2倍・参加型で買収額が低い場合)

先ほどと同じ時価総額5億円の会社が、4億円で買収されるケースを考えてみましょう。

投資家にはまず2億円(出資金1億円×2倍)を優先分配し、残りの2億円を持分比率(8:2)で分け、起業家に1.6億円、投資家に4000万円を分配します。その結果、投資家は合計2.4億円を受け取ります。

これがもし普通株であれば、買収金額の4億円を8:2で分けるので、投資家には8000万円しか分配されず、出資金額(1億円)よりも減ってしまいます。つまり、優先株は投資家のリスクを抑えることになるのです。

その一方、起業家にとってはリスクにもなります。たとえば、1億円の出資を受けた会社が2億円で買収されたら、先に投資家に2億円が分配されるので、起業家には何も残りません。

上場(IPO)した場合

会社が上場した場合、基本的に優先株は普通株に変わります。つまり、持分比率で利益分配することになります。

起業家と投資家の交渉次第ですが、「○億円以上で買収されたときは優先分配しない」「優先分配する金額はいくらまで」という上限をつけることもあります。

優先株にはいろいろな種類がありますが、スタートアップの資金調達で使われる優先株としては、これまで紹介したものが基本的な仕組みになります。

「非参加型」の優先株もある

補足として「非参加型」の優先株を紹介します。

例えば「2倍・非参加型」の優先株の場合、投資家が1億円を出資する会社が10億円で買収された場合、投資家には2億円が優先分配され、残りの8億円は普通株主だけで分配します。

投資家からすると「最低限のお金を返してもらえればいい」というのが、非参加型のコンセプトです。

日本の優先株は「1倍・参加型」が主流

Coral Capitalが調査したところ、日本の優先株は97%が参加型で、「1倍・参加型」がデファクトでした。

それが正しいのかという議論はあるのですが、起業家が将来VCと交渉したときに「2倍です」と言われたら、その意味を考えてほしいんです。もしかしたらVCが保守的なのかもしれないし、時価総額が高すぎるのかもしれません。

優先株によって、起業家と投資家のリスク・リターンが柔軟に調整できるようになりました。アメリカでは優先株の仕組みができてから投資家が増え、よりスタートアップ業界にお金が流れ込むようになりました。

日本でも5年前くらいから、数億円以上の資金調達は優先株が主流になりつつあります。その理由は投資家のリスクを抑えるためで、高い金額を投資した会社が安く買収されてしまった場合に備えるためなのです。

3分で解説エクイティファイナンスシードファイナンスベンチャーキャピタル
澤山 陽平

澤山 陽平

Founding Partner @ Coral Capital

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