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新型コロナは私たちのスタートアップ投資をどう変えるか

ここ数週間で多くの記者の方々から取材を受け、新型コロナウイルスが日本のスタートアップ界にどのような影響を与えているか、そして私たちの投資活動にも影響を与えているかどうかについて聞かれました。どちらの質問に対しても、私たちの答えは「Yes」です。

新型コロナウイルスはあらゆる業界のあらゆる企業に影響を及ぼしており、スタートアップも例外ではありません。この厳しい状況が逆風になっているか、それとも追い風になっているかは、業界によります。オンラインストリーミングやフードデリバリー、多くのSaaS企業にとっては追い風になっています。旅行やイベント会社、それにインターネットを介したサービスを提供していない飲食店または小売関係と関わる企業にとっては容赦ない逆風になっています。このように、新型コロナウイルスから受ける影響は企業によって非常に大きく異なります。

私たちの投資活動に関していえば、新型コロナウイルスによってこれまでの投資を見直し、新しい視点から考えなければならなくなりました。投資ペースは落としていませんが、今後数年間の投資機会が新型コロナウイルスの影響で全体的に変わってしまいましたので、それについて議論を重ねています。

トランプ大統領や安倍首相の主張や期待に反して、このパンデミックは収束には程遠い状態にあります。世の中が「通常」に戻る日はしばらく来ないでしょう。ビル・ゲイツ氏がThe Economist誌の最近の記事で述べたように、私たちのこの「新しい現実」はワクチンができるまで続く可能性が高いです。たとえロックダウンが緩められたとしても、混雑していて感染リスクが高い場所を人々は避け続けるでしょう。これはつまり、空港やスタジアム、ショッピングセンターでは当面の間、以前よりずっと人が少ない状態が続くということです。

このパラダイムシフトに対応するために、私たちはコロナウイルスがもたらした「ニュー・ノーマル」の中でどのように投資し、各カテゴリーに対してどのようにアプローチするべきかについて考える必要に迫られています。

最もわかりやすい例が、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けた旅行業界です。ここ何年もの間、日本のインバウンド観光は黄金時代を迎えていました。わずか10年足らずで海外からの旅行者の数は年間約500万人から3,000万人以上へと急上昇したのです。日本人の中には、「今度の東京オリンピックのおかげだ」という人もいます。しかし、実際はそれとは全く関係がなく、アジアの他の国々が裕福になるにつれて、この美しい国へ旅行に訪れる経済的余裕が生まれたことが原因です。主に中国からの観光客が牽引し、旅行業界は爆発的に成長しました。そして、皮肉なことに、今度は中国からのウイルスによってその成長が完全に止まったのです。ほんの数か月のうちに、訪日外国人の数は1日あたり87,000人からわずか85人へと減少しました。東京の街を歩く外国人の数も昔に戻ったように少なくなり、 私自身もそんな外国人のうちの1人ですが、まるで21世紀の江戸時代を生きているような気分です。

このような事態になったからといって、私たちが旅行などの大きな打撃を受けたカテゴリーに対して投資をしなくなるというわけではありません。しかし、より慎重な投資を行う必要があるのは確かです。今のこの状況が長引くことで生じる様々なリスクと、それにより適正な評価額が変化することを考慮しなければなりません。過去20年間で最も成功した旅行系スタートアップであるAirbnbでさえ、以前の半分のバリュエーションで、10%の利子をつけて資金を調達せざるを得ませんでした。 旅行業界や、同様の影響を受ける他の業界のスタートアップも、必然的に追随する道を選ばなければならなくなるでしょう。

もちろん、すべてが悪い方向へ向かっているわけではありません。新型コロナウイルスは、日本のビジネス誌で最近よく取り上げられている「デジタル・トランスフォーメーション」を促進するにあたって、究極的かつ強制的な役割を果たすに違いありません。実際に、政府や教育機関、医療機関などがパンデミック下における働き方を試行錯誤する中、これまでイノベーションの妨げとなっていた数多くの障壁が打ち破られることとなりました。この激震的な変化をおそらく最も象徴する出来事は、IT担当大臣が日本企業のハンコ文化の必要性について意見を変えたことです。竹本直一はハンコ業界の存続を訴える団体の会長でもありますが、パンデミックの最中でも書類に押印するためだけに出社しなければならないシステムに問題があることをついに認めました。 彼によると、ハンコを使い続けるかどうかは、これからは「民間の問題」になるとのことです。

これまでも私たちはデジタル・トランスフォーメーションのテーマに沿って多額の投資を行ってきましたが、それはこの危機的状況においても変わりません。新型コロナウイルスはひどい悲劇ですが、同時に進歩の機会でもあります。このような状況でも、私たちは新しい追い風に期待していますし、投資ペースを落とす予定もありません。

エクイティファイナンスコロナ投資基準
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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