Coral Capitalは、2020年4月14日から5月14日にかけて日本の起業家とスタートアップ投資家約100名(起業家83名、投資家18名)に対して日本のスタートアップ業界の現状およびコロナ禍が及ぼしつつある影響について匿名によるアンケート調査を行いましたので、レポートを公開します。アンケートにご協力頂いた皆さま、ありがとうございました。
本調査は昨年公開した「Japan Startup Landscape 2019 Spring」に続く第2回めで、年次の定点観測という位置付けです。今回は調達環境について昨年との差分を見ることと、コロナ禍の影響、リモートワークの取り組みなどを中心にお聞きしました。
コロナの影響はあるが、スタートアップはリモートにいち早く対応
まず「コロナの影響はありますか?」と聞いた質問に対して、半数を超える55%が「悪影響」と回答しました。ただし、回答は5段階で「大きく悪影響」とした回答は11%にとどまったという見方も可能かもしれません。
事業活動に影響が出てくるなか、資金的な備えはどうでしょうか? 追加の資金調達なしにキャッシュが尽きるまでの期間、いわゆるランウェイについて質問したところ、以下のようになりました。一般論として資金調達時に確保するランウェイは18か月が目安ですが、コロナの影響を勘案すると、最低でも24か月は確保したいというのがCoral Capitalの見解です。アンケートでは12%が半年以下、46%が12か月未満と回答しており、資金調達が急務となっていると言えそうです。
コロナ対策として実施済み・計画中の施策について尋ねたところ、追加資金調達に加えてメジャーだったのは業務委託削減とキャッシュフロー調整でした(いずれも約3割が実施済み)。一方、従業員削減にまで踏み込むところは少ない(全体の1割強)ことも分かりました。
業種によっては厳しい向かい風となっているコロナ禍の最中ですが、起業意欲についてはどうでしょうか? 「現在、起業するのに適していると思いますか?」という質問に対する「いいえ」とした否定的な回答は、全体の21%と、実は昨年調査時と全く変化がありませんでした。
リモートワークは96%が実施、66%は「業務に支障なし」
リモートワークについては、コロナ以前から実施してたり、制度化していないケースも含めると、実態としてリモートワークを取り入れているのは96%と非常に高い数字となりました。また業務への支障なしとした回答は66%。リモートが困難という回答は12%にとどまりました。
今回の調査では、この他にも全46の質問で明らかになった、資金調達や採用、共同創業者といったスタートアップの実態に関しても、レポート結果を掲載しています。下記は、質問の一例です。昨年との変化を見るという点でも興味深い結果となっています。
- 共同創業者との関係はどうですか?
- 直近の調達はどのくらいの時間がかかりましたか?
- 前回のラウンドに比べて次の資金調達を難しいと考えていますか?
- 昨年に比べて優秀な人材を雇用するのは難しくなっていると感じますか?
- リードインベスターを決める上で大事な要素は何ですか(複数回答可)?
- 過去の2、3年で投資家と起業家どちらの交渉力が大きくなったと思いますか?
- 中級エンジニアおよびCTOの年収、ストック・オプションは?
- 利用中のSaaSの数と月の支払額は?
- ユニコーン企業になる自信はありますか?
- 今のオフィスの一坪あたりの賃料はいくらですか?
全質問項目の回答結果を記したレポート全文については、下記のフォームよりダウンロードいただけます。
Editorial Team / 編集部