Coral Capital創業パートナーCEOのジェームズ・ライニー(James Riney)が紹介する海外スタートアップシリーズの第4弾は、営業のボーナスを自動計算するスタートアップ「CaptivateIQ」です。CapivateIQは2017年創業でSequoia CapitalやY Combinatorなどから累計1,660万ドル(約17.5億円)を調達している、文字通り注目株です。
CaptivateIQは営業、マーケティング、カスタマーサクセスなど、個々人のパフォーマンスによってボーナス額(インセンティブやコミッションとも呼びます)を自動計算するサービスを提供しています。つまり営業チームの誰が、どのくらい売上を達成したかによって四半期ごとなどのボーナスの金額を変動させる、その設計と自動計算をしてくれます。
「案件のクロージングに至るまで、これまでどのメンバーがどう貢献したかが明確になっていなかったところがあります。誰かがExcelに数字をまとめて計算したりしていました。でも今はオンラインで営業をやるようになって、いろんなタッチポイントがある」(ジェームズ)
いまはマーケティング、インサイドセール、カスタマーサクセスと売上に繋がる企業活動における個々人のアクテビティーの多くがデータやログとしてクラウド上にデジタル化されています。このジャンルでは、すでにSAPやXactlyといった競合があるものの、SaaS時代のインセンティブ計算は、まだまだブルーオーシャンだというのがジェームズの見立てです。
CaptivateIQのブログには面白い統計が紹介されています。ExcelやGoogleスプレッドシートなどで、こうした社員の業績管理をマニュアルで行っている場合、そうしたデータの88%にヒューマンエラーが含まれている、というのです。これは管理コストの問題というだけでなく、透明性や会社が社員に対して持っているべきアカウンタビリティーという点で大きな問題となり得ます。「なぜ私の今期のボーナスは、この数字なのですか?」という問いにクリアに答えられなければ、組織のモラルが低下することでしょう。
日本より遥かに社員の自己主張や交渉の文化が強い米国ですら、数字の確認や交渉のコミュニケーションは心理的負担が大きいのだ、とジェームズは指摘します。
CaptivateIQはノーコード・スタートアップとも言える面もあります。それはインセンティブ設計のときに、どのサービスからどういう数字を引っ張ってきて、どういう条件分岐や計算をするか、そこのロジックをビジュアルに作れるようになっているからです。
日米の商習慣の違いはあるかもしれませんが、日本でも営業やマーケなど業務のDXが進行していますから、チャンスはあるかもしれません。この事業領域で起業を検討中の方がいれば、ぜひCoral CapitalのフォームまたはジェームズのTwitterにDMで、ご連絡くさだい。
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