スタートアップ業界でも頻繁に耳にするようになった「カスタマーサクセス」。SaaS系企業で出てきた新しい職種で、主に顧客の成功体験づくりを支援することを目的としています。
カスタマーサクセス管理プラットフォームを提供するHiCustomer株式会社が10月8日、国内のカスタマーサクセスの現状をとりまとめた「カスタマーサクセス白書2020」を公開しました。それによれば、企業の95%は今後もカスタマーサクセスへの投資を進める方針であることがわかりました。
調査は9月4日から9月18日にかけて、カスタマーサクセス担当者157人から回答を集めたものです。この記事では調査レポートの中から、日本のカスタマーサクセスの「今」がわかる7つのデータを紹介します。なお、回答者の属性は以下の通り。
1)カスタマーサクセスチームの人数は2〜5人が最多
カスタマーサクセスチームの人数では「2〜5人」と答えた企業が45%で最も多く、次いで「6〜10人」(20.7%)、「11〜20人」(14.3%)、「1人」(9.3%)の順でした。
2)運営1年未満でも「2人以上」のチームが8割超える
カスタマーサクセスチームの人数を運営年数別に分類したところ、1年未満でも82.7%のチームが2人以上で構成されていました。このことからHiCustomerは、「立ち上げ時からカスタマーサクセスチームへ積極的な投資を行う企業が多い」と見ています。
3)78%が昨年より拡大、95%の企業は今後チーム拡大へ
昨年からのチーム規模の変化では、76.2%の企業が増加したと回答しており、2.4%の新設と合わせて全体の78.6%で規模が増加しています。
今後の拡大予定については、減少見込みと回答した企業は4.3%にとどまり、多くの企業が今後もチームへの投資を行う方針であることがわかりました。
4)1人あたりの担当企業は16〜100社が半数以上
カスタマーサクセス担当者1人あたりが担当する企業数では、1〜15社が全体の約4分の1(23.1%)。その一方で、16〜50社は32.7%、51〜100社は26.9%と、全体の59%の企業が16〜100社を担当していました。
5)カスタマーサクセスチームが責任を負っている指標は?
カスタマーサクセスチームが責任を負っている指標(複数選択)で最も多かったのは「カスタマー数ベースの解約率/契約更新率」で58.2%。次いで「アップセル/クロスセル」が43.7%と「売上ベースの解約率/契約更新率」が43%の順でした。
HiCustomerの分析によれば、NPS(ネットプロモータースコア)や活用率といった、直接売上に紐付かない指標のみを設定しているチームは4.4%にとどまることがわかりました。
6)カスタマーサクセス管理のために使っているツールは?
カスタマーサクセスチームが使っている管理ツールでは、多数のチームが「Google Sheets/Microsoft Excel」(31.9%)や「CRM/SFA」(22.5%)と回答。カスタマーサクセス専用管理ツールを使っている企業は6.1%にとどまりました。
7)チーム規模の増減と「月次解約率」の関係は?
昨年比でカスタマーサクセスチームを拡大(増設/新設)した企業、変化なしの企業、縮小した企業ごとの月次解約率についても調査。
その結果、チーム規模を拡大(増設/新設)させた企業では、「月次解約率2%以下」が53.1%となった一方で、規模を縮小した企業の66.7%では「月次解約率が15%以上」となりました。このことからHiCustomerは、カスタマーサクセスへの投資が将来の収益へ大きな影響を与えると分析しています。
「カスタマーサクセスは、今後も成長し続けていくことが予想されます。しかし国内でカスタマーサクセスが定着し発展し続けるためには、カスタマーサクセスへの投資が事業成長に貢献することを示し続けていくことが必要です」(HiCustmer)
顧客の成功とともに、自社のグロースに責任を持つ「カスタマーサクセス」。今回の調査で95%の企業が投資拡大する意向を示していて、スタートアップ業界でも注目の業種です。
今回の調査ではこのほか、カスタマーサクセスチームの課題や、チーム運営年数ごとに見た業務比率の変化など、カスタマーサクセスの「今」がわかる数字が明らかになっています。全34ページの調査結果全文は、こちらから無料でダウンロードできます。またカスタマーサクセスという職種に興味のある方は、「成長SaaS企業のカスタマーサクセスづくり」もご覧ください。
Editorial Team / 編集部