本ブログは著名アクセラレーターTechstars共同創業者のDavid Cohen(デービッド・コーヘン)氏のブログ記事「The Mentor Manifesto」をご本人の許可を得て翻訳したものです。TechstarsはY Combinatorなどと比べると日本での知名度は高くありませんが、今年始まった内閣府によるスタートアップ拠点都市アクセラレータ事業でメンターシップを提供するパートナーであり、コロラド州ボルダーからDigitalOceanやSendGrid、ClassPassなどユニコーンを輩出したことでも知られています。
Techstarsを運営して6年になります。過去11回のプログラムに参加した企業が、何百人ものメンターと交流する様子を見てきました。こうしたメンターたちの影響力(とメンティー側のきわめて優れた企業への注力)のおかげで、参加企業は約1億ドルの資金を調達(Techstars後の平均は約100万ドル/社)するに至っています。その間、地球上で最高の起業家や投資家たちが、メンターとして参加企業と関わる姿を何千回と目にしてきました。その結果を、少し前に、起業家としてこうした素晴らしいメンターたちとどう関わるのがベストなのか、記事にまとめました。
今回の記事では、この関係性の反対側を見ていきましょう。優れたメンターであるとは、何を意味するのでしょうか? メンターのどのような行動が、素晴らしいメンタリングにつながるのでしょうか? 私がここで本質的に捉えようとしているのは、最高の結果をもたらすと思われるメンターの行動です。メンターがここに上げるような行動を取っている場合は、人間関係が花開き、会社が成長します。そうでない場合、苦労する傾向があります。
ということは、起業家が自身のメンターにこうした行動を求めることはあり得ますし、むしろ求めるべきです。そして、メンターは起業家と有意義な関係を築きたいのであれば、ここに挙げる内容をぜひ心に留めてください。今回は各項目について詳述せずに、まずはこの「メンター・マニフェスト」をお見せしますので、コメントで皆さんの反応をお聞かせください。もしかしたら将来的に、一つひとつの行動を掘り下げて紹介するかもしれませんが、今のところは、読んでいただければ、その意図するところは自明なのではないかと思います。
メンター・マニフェスト(メンターの心得)
- ソクラテス式であれ(訳注:対話を通して真理を探求した古代ギリシアの哲学者にならって「対話せよ」との意味)。
- 見返りを期待しない(でも、何か嬉しくなるようなものは得られるはず)。
- 一貫性のある人であれ/言行を一致させよう。
- 率直であれ。どんなに難しくても、真実を伝えよう。
- 耳を傾けることも大切。
- 最高のメンター関係は、いずれ双方向に有意義になる。
- 反応は素早く返そう。
- 毎年少なくとも1社、新しくメンターしよう。経験がものをいう。
- 意見と事実は明確に分けよう。
- 情報の秘密を厳守しよう。
- メンターになるか、ならないかを明確にしよう。どちらでも構わない。
- 自分が何を分かっていないか、わきまえよう。わからないときは「わからない」と言おう。虚勢を張るより「わからない」の方が、ずっといい。
- コントロールせずに、ガイドしよう。決断は、チームが自分たちで行わなければならない。導くことはあっても、何をすべきかを指示してはいけない。彼らの会社であって、あなたのものではないと理解しよう。
- 他のメンターが関与することを受け入れ、コミュニケーションをとろう。
- 楽観的であれ。
- 漠然としたものではなく、具体的で実行可能なアドバイスをしよう。
- 議論では厳しい質問を。でも決して起業家を挫けさせたり事業を外部に酷評したりはしない。
- 共感を示そう。スタートアップは大変であることを忘れない。
メンター・マニフェストについて考える手助けとアイデアを提供してくれたJon Bradford(ジョン・ブラッドフォード)とBrad Feld(ブラッド・フェルド)に感謝します。
こちらの記事では、ラルフ・ダンドレアが「信念と目的」の観点から、上記内容を違う言葉で表現しています。
Editorial Team / 編集部