スタートアップであれ大企業であれ、チームとして成果を上げるためには、様々な性格や傾向、仕事への取り組み方を持つ人たちと連携する必要があります。ある人にとっては常識であることが、別の人にとってはまったく不要なものに思えることもあるでしょう。お互いの違いを理解できていないと、摩擦や不満、ボトルネックが頻繁に生じる原因になりかねません。しかし、それはつまり、お互いの個性や違いを明確に把握できるシステムを「インストール」さえすれば、格段にスムーズな連携を実現できるということでもあります。要するに、チームにおいても「相互運用性」を高めることが重要なのです。
Coral Capitalでは、ギャラップ社の「ストレングスファインダー・テスト(クリフトンストレングス)」を活用しています。Coralに新しく加わったメンバーには全員、まずこのテストを受けてもらいます。その結果をチームと共有し、なぜそのようなスコアになったかを自己分析してもらうことで、互いの理解を深めることができるのです。ちなみに、現在のCoralチームの診断結果は以下の通りです。
上記のメンバーがそれぞれ誰かは公表しませんが、Member 1は私のことです。この結果を見て、「CEOらしい資質を持っている」と思われたかもしれませんし、「一緒に仕事をするのは大変そう」と思われたかもしれません。あるいはその両方かもしれません!
また、投資チームのメンバーは「戦略的思考力」の資質が上位に多くランクインしています。投資家として成功するには鋭い戦略的思考力が必要なため、これは驚きではありません。ところが面白いことに、投資チームは業務上、人脈作りや交流も多く行う必要があるにもかかわらず、「人間関係構築力」のスコアは全体的に低いのです。一方で、エコシステムチームのメンバーたちは「戦略的思考力」のスコアが低く、「人間関係構築力」のスコアが高い傾向があります。これらの結果を採用の基準として使うことはありませんが、チーム間でこのような傾向が見られるのは興味深いです。
さらにメンバー同士の理解を深めるための取り組みとして、「私との働き方マニュアル」の導入も最近検討しています。家電製品に取扱説明書があるように、「自分」という人間と働く上での「取り扱い方」を説明した文書のことです。一緒に働く際に周りの人に知っておいてほしい様々なことを共有できます。例えば仕事への取り組み方や、マネジメントスタイル、どうしても不快に感じること、得意なコミュニケーション手段などです。このマニュアルについては、Elad Gilの著書『爆速成長マネジメント』を読んで知りました(ちなみにスタートアップの起業家にとって必読の1冊だと思います)。同書にはStripeの元COOであるClaire Hughes Johnsonとのインタビューが含まれているのですが、彼女は自分の働き方や好みについて周りに理解してもらうために「Claireと働く」という文書を作成しているそうです。また、FacebookとAsanaの共同創業者であるDustin Moskovitzも、同じようなマニュアルを用意しているとポッドキャストで話していました。
この「私との働き方マニュアル」は、起業家にこそ必要なものかもしれません。というのも、起業家には個性が強い人が多く、周りと摩擦が生じやすい傾向があります。特にスタートアップ企業ではスピードが求められるため、こうした個性や傾向を前もって伝え、社内のボトルネックを最小限に抑えることがよりいっそう重要になります。相手の傾向を事前に知ることで、誤解やミスを未然に防げるため、こうしたプロアクティブな対策は非常に効果的です。Coralでも、この効果を狙ってギャラップ社のストレングスファインダーを実施しています。各チームメンバーの強みや傾向を理解することが、お互いを理解し合い、尊重し合える環境を育むことにつながるのです。特にスタートアップのようにハイペースでプレッシャーの多い世界では、このシームレスなコミュニケーションと結束が、組織を迅速にスケールする鍵となるでしょう。
P.S. Coralにフィットするかもしれないと思った方は、ぜひこちらからご応募ください。現在、投資チームとオペレーションチームのポジションで募集中です。
Founding Partner & CEO @ Coral Capital