本日は、うれしいお知らせがあります。ノア・スミスがCoral Capitalにベンチャーパートナーとして加わります。
経済やテクノロジーをめぐるグローバルな議論を追っている方なら、ノアの名前はすでにご存じでしょう。彼は世界で最も多くの読者を持つエコノミストの一人です。Substackで屈指のフォロワー数を誇るニュースレター「Noahpinion」は、ワシントン、シリコンバレー、そして近年は東京でも、起業家や政策立案者、投資家に毎日読まれています。独立前はBloomberg Opinionのコラムニストを務め、大学でファイナンスを教えていた経験もあります。スタンフォード大学で物理学の学士号、ミシガン大学で経済学の博士号を取得しています。
私たちにとって何より大きいのは、ノアが日本の可能性を世界に向けて最も力強く訴えてきた人物の一人だということです。
日本で長く暮らした経験を持ち、日本語も話すノアは、20年にわたって日本経済について考察を重ねてきました。昨年出版した『ウィーブが日本を救う──日本大好きエコノミストの経済論』(日経BP)では、世界を惹きつける日本文化の力と産業の強みを、今後の経済成長にどうつなげていけるかを論じています。現在は、日本の防衛テックと安全保障をテーマにした次作を執筆中です。日本のものづくりの力は世界経済で最も過小評価されている資産の一つである。日本は自国のみならずアメリカ向けの防衛装備を生産・供給する拠点になり得る。日本はもっと海外の資本と人材を呼び込むべきだ。ノアはこうした主張を力強く展開してきました。
私たちが一緒に仕事をするずっと前から、ノアはすでに、Coralの根幹にある考えを訴えていたのです。
今回の就任が意味すること
Coralはこれまで、日本で各領域のリーダーとなる企業を支援する機会に恵まれてきました。その中には、SmartHRのように評価額10億ドルを超えた企業もあります。今後も、革新的なテクノロジーで国内市場を変革する起業家への投資を続けます。この方針が変わることはありません。
同時に、AIによって、企業の立ち上げからスケールまでにかかる時間は短くなっています。日本の人口動態を踏まえれば、世界市場が成長の舞台となるのは自然な流れです。日本から次のトヨタやソニーが生まれるには、起業家が創業時から世界を見据える必要があります。そうした起業家を見つけ出し、他社には真似できない強みを手にできるよう、あらゆる形で支えること。それが私たちの仕事です。
世界の関心は、ビット(デジタル)から再びアトム(モノ)へと戻りつつあります。製造業の再興、防衛、エネルギー、ロボティクス、フィジカルAIは、これからの10年を象徴する投資テーマであり、いずれも日本の強みが直接活きる領域です。こうした産業では、言語や文化の壁よりもはるかに重要なものがあります。日本が何十年もかけて磨き上げてきた製造プロセスの競争力とノウハウ、すなわち「ものづくり」です。さらに、世界が中国のサプライチェーンへの依存リスクを減らそうとするなか、日本には数十年に一度の好機が訪れています。米国との結びつきを深め、生じつつある製造業の空白を埋める好機です。
日本は米国にとって最も重要な同盟国です。対米直接投資では最大の投資国であり、日本企業が支える米国の製造業雇用は、他のどの国の企業よりも多くなっています。米国外で最も多くの米軍人が駐留しているのも日本です。日米の経済関係は、いま世界で最も重要な意味を持っています。私たちは、その架け橋になることを目指しています。
こうした考えは、私たちが「JAPAN IS BACK」と題して発表した投資テーゼそのものであり、日本の強みを武器に世界で戦う企業と手を組んできた理由でもあります。Andurilは日本で販売するだけでなく、日本国内での製造にも乗り出しており、国内の生産能力の拡充に数十億ドル規模を投資する計画です。京都フュージョニアリング、TeraWatt Technology、大熊ダイヤモンドデバイス、GITAIをはじめ、多くの企業が日本発のハードテックを世界に広げようとしています。
ノアの役割
ノアはベンチャーパートナーとして、日本から米国へ、米国から日本へという両方向の流れを、私たちと共に強化していきます。
世界を目指す日本の起業家にとって、ノアは、日本のほかのどのVCにも提供できない信頼と発信力をもたらします。投資先が海外で資金調達をしたり、世界に向けて自社のストーリーを語ったりするとき、ノアの声はまさに届けるべき相手に届きます。起業家たちが最もつながりたい投資家や事業家、政策立案者から、ノアは厚い信頼を得ているのです。
米国の起業家や投資家にとっては、ノアが日本への架け橋となります。人と人をつなぎ、事業や投資の機会を見いだすほか、Coralに定期的に寄稿します。産業政策やサプライチェーン、防衛経済、そして日本と共に事業を築くうえで本当のチャンスがどこにあるのかを、エコノミストの視点から論じていく予定です。
米国での体制も一段と厚くなります。ノアは、サンフランシスコを拠点とするパートナーの矢野莉恵、吉田直樹と共に活動します。
一方で、Noahpinionはこれまでどおり、完全に独立した媒体であり続けます。その独立性こそが、ノアの言葉に価値をもたらしています。私たちも、それを何より尊重しています。
いまこそ、日本と共に築くとき
澤山陽平と私がCoralを創業したとき、スタートアップの力で日本経済を再び成長軌道に乗せられると信じていました。私は子どもの頃に日本へ移り住み、人生の大半をここで過ごしてきました。今の私があるのは、この国のおかげです。私たちは、日本で、日本のためにCoralを築いています。この姿勢は、これからも決して変わりません。
長いあいだ、スタートアップが日本経済を再び成長させるという考えは、逆張りと見なされてきました。しかし今、それは広く共有されつつあります。明治の近代化、戦後の高度成長に続く、日本の「3度目の躍進」はすでに始まっています。もはや問われているのは、日本が重要かどうかではありません。日本の起業家がこの好機をつかむのを、誰が後押しするのかです。
その問いに向き合う私たちにとって、今回の発表は特別な意味を持ちます。ノアと私たちは、日本への愛情を共有し、この国の次の10年の成長がどこから生まれるのかについても、同じ確信を持っていました。そうした共通の思いから、友人になりました。そしていま、世界で最も尊敬されるエコノミストの一人が、私たちと共に日本のストーリーを伝えてくれます。
「失われた数十年」は終わりました。いまこそ、そのことを世界中に知らせるときです。
ノア、ようこそ。Let’s build with Japan.
グローバルに事業を展開したい日本の起業家の方、日本と共に事業を築きたい米国企業の方は、ぜひ私たちにご連絡ください。
