スタートアップの創業初期にはバックオフィス関連のことは社長や創業メンバーが手掛けることが多いと思います。そうした創業チームの皆さんのマインドシェアを減らすため、「これだけは押えておこう」というペライチに収まるチェックリストの「労務編」をお贈りします。
免責:本チェックリストは創業期のスタートアップ向けにCoral Capitalおよびhokanが公開するものですが、法的アドバイスを提供するものではありません。また掲載時の情報であり、最新性も保証いたしません。本リストを利用して損害が発生しても、損害の責任は負いかねますのでご了承ください。
リストは、先日Coral Insightsで公開した「経験者に聞く勘所と落とし穴:スタートアップバックオフィスの始め方」の記事で考え方や要点を教えていただいた株式会社hokanの安田ともこさんに監修いただいています。記事にもある通り、スタートアップのバックオフィス業務で最初に取り組むべきは労務です。
スタートアップ創業期における労務、経理、法務などのバックオフィス業務は抜け漏れや、仕組みの整備に遅れがあると、徐々に問題が大きくなり、後になってから手戻りの手間やコストが無駄にかかるものです。
労務管理で早めにリスクを回避する
まず、そもそも論としてスタートアップといえども雇用契約を結んで従業員を採用する以上は、労働関連法の規制を受けます。従業員が1人でも入れば、時間外や休日の労働に関する労使の合意を文書化した、いわゆる「36協定」の整備や保険加入が必須になりますし、従業員が10人を超えると就業規則の届け出も必須です。36協定とは、1日8時間、1週間に40時間と定められている法定労働時間を超えた時間外労働について、その条件を労使間で合意し、労働基準監督署に届け出るものです。ただし、合意があっても超えてはいけない労働時間の限度が1日、1か月、1年ごとに、それぞれで定められていることについても注意が必要です。
スタートアップにとってクリティカルなのは労務トラブルとコンプライアンス上の問題です。就業規則や36協定が未整備では、例えば残業代の支払いで従業員と揉めることがあります。また、事業会社/CVCのデューデリジェンスが通らずに出資の話が立ち消えとなったり、IPO準備の段階で労務体制の修正に時間がかかってしまうこともあります。労務管理には真っ先に取り組みましょう。
Editorial Team / 編集部