Coral Capitalは8月31日、3号ファンドを140億円で組成完了したことを発表しました。この記事では、同日開催されたオンライン記者会見で創業パートナーの澤山陽平がお話しした内容をもとに、3号ファンドで実現したいことを3分で読める形でお届けします。
140億円の3号ファンド、運用資産残高は300億円に
今回のファンドは、2016年に立ち上げた38億円の1号ファンド、2019年に立ち上げた60億円の2号ファンドに続く、3つ目のコアファンドとなります。2号ファンドの2倍以上の規模となる、140億円で組成しました。
2018年にはSmartHRの追加投資専用ファンドや、2020年には1号ファンド投資先への追加投資を目的としたグロースファンドを立ち上げており、ファンドとしては5つ目です。AUM(運用資産残高)は約300億円となっています。
海外投資家比率が3分の1に
今回のファンドには3つの特徴があります。1つは投資家の特性です。
1号ファンドでは戦略投資(情報取得や事業シナジー効果を期待する出資)目的の投資家が大半を占めていましたが、3号ファンドは純投資目的の投資家が8割に上りました。
これはひとえに、Coralのファンドとしてのリターン、およびリターンの再現性の高さを、プロの投資家に高く評価していただいたことの表れだと考えています。
Founders Fundの出資が日本のスタートアップに与える影響
今回のファンドではさらに、海外の投資家にも積極的にアプローチした結果、海外投資家の比率が約3分の1を占めています。その中でも、最も有名なのが「Founders Fund」です。
Founders Fundは、PayPal創業者であり、シリコンバレーで大きな影響力を持つ「ペイパル・マフィア」の中心人物、ピーター・ティールが率いる米国のトップVCです。AUM(運用資産残高)は60億ドル(約6,600億円)以上。主な投資先はFacebookやAirbnb、Stripe、SpaceXなどで、数々のスタートアップを育ててきました。
Coral 3号ファンドがFounders Fundから出資を受けたことは、日本のスタートアップ業界にとって大きな意味を持ちます。それは、米国のトップVCが日本のスタートアップに注目していること。そして、Coralへの投資を通じて、その情報を手に入れようとしているということです。
近年では日本でも大型調達するスタートアップが増えてきました。そうしたケースでは海外投資家から資金調達できるかどうかが重要になってきます。その点でもFounders Fundは、心強い味方となってくれるはずです。
初回投資金額を最大5億円に、シリーズA投資も開始
2つ目の特徴は、初回投資金額を最大5億円まで拡大し、シリーズAからの投資も開始することです。これまでの初回投資は1〜2億円が上限だったため、シードやプレシリーズAの段階で投資を開始することがほとんどでした。
最近は日本のスタートアップエコシステムが成長し、非常に大きなシード調達が行われるようになりました。投資の上限拡大は、Coralがこうした変化にキャッチアップするために必要なことだと考えています。
また、追加投資についてはこれまで、SPV(追加投資専用ファンド)やグロースファンドで実施してきましたが、3号ファンドでは最大20億円まで追加投資していきます。つまり3号ファンドは、シードからシリーズBぐらいまでを一気通貫でサポートできるようになるわけです。
長期支援ファンドで日本からデカコーン創出へ
3つ目の特徴はファンド期間です。多くのファンドの運用期間は10年+2年が一般的ですが、3号ファンドは10年+4年の最大14年に設定しました。
世界的にIPOまでの期間は長期化しています。こうした傾向の中で、大きなインパクトを生むスタートアップを作るには時間がかかります。長期支援のファンドとすることで、ユニコーン、さらにその先のデカコーンを日本から生み出していきたいと考えています。