私たちが最初のファンドを立ち上げた当時は、主にシードステージへの投資に注力していました。これには主に2つの理由があります。1つ目は、シリコンバレーのVCで、シード投資に卓越した専門性を持つことで知られる「500 Global(旧500 Startups)」と共同でファンドを立ち上げたことです。2つ目は、多くのファームと同様に、私たちも最初のファンドは比較的小規模な3500万ドル(当時の為替レートで約35億円)からスタートしたため、1社につき投資できる金額が必然的に限られていたことです。
あれから時が流れて今日に至るまで、私たちは大きな成長を遂げてきました。2019年には500 Globalからスピンアウトし、Coral Capitalを設立。そして今年の春には4号ファンドを255億円でクローズし、運用するファンド総額(AUM)が約600億円に達しました。現在では、より大規模なファンドを組成することを意図的に見送れる立場になっています。
マルチステージに対応できるファームへと進化
運用総額が増えたことで、私たちの基本理念である「日本の次の伝説的な企業を支援する」という目的に忠実でありながら、これまで以上に大きな投資を実現できるようになりました。以下に、Coral Capitalがレイターステージでリード投資を行った企業をいくつかご紹介します。
- SmartHR:15億円のシリーズB
- カミナシ:30億円のシリーズB
- hacomono:40億円のシリーズC
- primeNumber:20億円のシリーズB
- mov:15億円のシリーズB
- すむたす:13億円のシリーズC
追加投資も含めれば、非常に長いリストになります。
このように、Coral Capitalはマルチステージに対応できるファームへと進化しました。シードからシリーズC前後までを対象とし、1社あたり5,000万円から30億円の投資が可能です。
「Power Law」を踏まえたCoralの投資方針
Coralの投資アプローチの核心は、「Power Law企業」を見極め、支援することにあります。ベンチャーキャピタルやスタートアップの世界では、「上位数社のスタートアップが総リターンの大半を生み出す」という「Power Law(べき乗則)」が支配的です。Power Lawでは、全体の価値や成果の大部分がごく少数の企業に集中する分布が見られます。同様にベンチャーキャピタルの世界でも、ごくわずかなスタートアップ企業が、個々のポートフォリオだけでなくVC市場全体のリターンのほとんどを生み出しているのです。これらのスタートアップを、私たちは「Power Law企業」と呼んでいます。こうした現実を踏まえ、Coralでは(ある程度までは)ステージを問わず、Power Law企業に投資することを最優先の目標としています。その次に重要なのは、これらの企業にできるだけ早い段階で投資することです。
アーリーステージとレイターステージの投資バランス
私たちは、できるだけ早い段階で企業に投資することを特に重視しています。時には、起業家の最初のピッチデックを見た段階で投資に進むこともあります。しかし、アーリーステージではどうしても情報が限られているため、Power Law企業を見極めるのは難しいのが現実です。このため、有望な企業を初期段階では見落としてしまうこともあります。そこで、私たちは投資の範囲を広げ、後のラウンドでも投資を行うことにしました。時間をかけて企業を深く理解し、その上で支援することを可能にするためです。
もちろん、レイターステージの投資においても、VCとしてのリターンを追求する姿勢は変わりません。シリーズBやシリーズCの投資では、最低でも3倍のリターンを見込むと同時に、10倍のリターンも実現可能だという確信を持って投資を行います。参考までに、シードステージでは50〜100倍のリターンを目標としています。
Coralに相談するベストなタイミングは?
答えはシンプルです。できるだけ早くです。
私たちはこれまで、アイデアをまとめたピッチデックだけの段階のチームにも数多く投資してきました。たとえ最初のラウンドで投資を見送ったとしても、その時間は決して無駄にはなりません。その後のラウンドで投資する可能性につながるからです。言い換えれば、Coralとの対話や関係構築自体が、将来の資金調達に向けた「投資」となるのです。時間をかけて関係を築くことで、起業家の人柄やビジョンをより深く理解し、確信を持てたチームに対しては、私たちはためらうことなく大きな投資を行います。また、すでにアーリーステージの資金調達を終えている場合でも、決して遅すぎることはありません。たとえば、hacomonoの場合、私たちはシリーズBで最初の投資を行い、その後のシリーズCではリード投資家として投資しています。
まとめると、Coral CapitalはシードからシリーズCまでを対象に、1社あたり5,000万円から30億円の投資が可能なマルチステージのベンチャーキャピタルです。ステージを超えて柔軟に投資を行うことができる一方で、特に創業初期から起業家に寄り添い、積極的に支援することを重視しています。
次の「Power Law企業」を作ろうとしている方は、ぜひこちらからご連絡ください。
Founding Partner & CEO @ Coral Capital