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空気を読まない外国人、多文化組織マネジメントの3つの要点

様々な文化的背景の人たちが働く「多文化組織」を経営する多数の起業家たちと、私は普段から仕事をしています。ビジネスの性質上必要であったり、創業チームに海外のバックグラウンドやネットワークがあるなどの理由から、日本人だけではなく外国人を採用しているのです。採用の範囲をグローバルに広げることで、スキルやアイデアをより幅広く取り入れ、会社の発展につなげることができています。しかし、それは同時に、多文化組織特有の言語や文化の壁を乗り越える必要があるということでもあります。

彼らはそれぞれ全く異なる業界でビジネスを展開していますが、多様性の高い組織をマネジメントするにあたって、ほぼ同じ課題に直面しています。それなら「Coral Family」で知識を共有できれば有意義かもしれないと、先週、私たちはそうした起業家たちをZoom飲み会に誘い、課題を乗り越えるための手助けとなるような考え方や対策について話し合いました。

その情報共有の中で、以下の3つの重要なポイントが浮かび上がってきました。

コミュニケーションのベストプラクティスを作る

コミュニケーションは、どんな組織を経営する上でも非常に重要な要素ですが、多文化組織の場合、円滑なコミュニケーションを実現するためにより多くの工夫が必要です。言語や文化の壁をなるべく取り除かなければ、マイノリティ側の社員を孤立させたり、チーム間の溝を深めたりといったことにつながりかねません。

この壁は、特に経営陣が重要な決断や情報について会社全体に伝える際に問題となります。プレゼンテーション形式で伝えることが多いと思いますが、ほとんどの場合、会社の公用語(通常は日本語)でプレゼンが行われ、外国人のチームメンバーには後で内容が伝えられます。しかし、このような方法では、どうしても疎外感が生まれてしまい、「2軍」のように扱われているという印象が拭えません。この問題の解決策として最も効果的だと個人的に思うのは、「英語で話すなら、スライドは日本語で作る。日本語で話すなら、スライドは英語で作る」という、私たちの投資先のZehitomoが教えてくれた方法です。この方法なら、自然と誰もが同じ状況に置かれ、全員に対して平等に情報を伝えられます。口頭でわからないことがあっても、スライドが読めるので問題ありません。逆にスライドでわからないことがあっても、発表者の話を聞けば内容を理解できます。

また、プレゼンに画像やイラストを多く使うのも、言語の壁を取り除くのに役立ちます。英語には、「1枚の絵は1,000の言葉に匹敵する」という格言があります(訳注:日本語では百聞は一見にしかずと訳されることも)。実際、どの言語でも、画像を用いた表現が多いプレゼンの方がより効果的に情報を伝えることができます。

「空気を読む」という考えを捨てる

その場の「空気」を読み、自分がするべきことや言うべきことを理解するべきだという考え方は、日本独特のものです。単一文化で、共通認識が多い「ハイ・コンテクスト」な集団の中では通用するかもしれませんが、それ以外ではそうもいきません。多文化組織では、その性質上、ある文化の常識を全体に適用することができないので、ルールや目標をより明確に示す必要があります。

例えば、日本人社員に対して年次有給休暇が2週間あると伝えても、仕事が忙しかったら、空気を読んでその半分しか使わないかもしれません。そして残りの有給休暇が翌年度へ繰り越されたとしても、やはり1週間分しか使わないかもしれません。しかし、外国人に2週間の有給休暇があると伝えたら、彼らの多くはその2週間を全て消化するでしょう。年度中に使い切らなかったとしても、いずれ使い切るものとして認識しています。

些細な問題のように思えるかもしれませんが、このようなギャップが業務上の様々な場面で出てきます。例えば、2週間後までに完了しなければならないプロジェクトがあるとします。もしプロジェクトを1週間で終わらせることができるとしたら、残りの1週間も19時まで残業する必要はあるでしょうか? 日本人なら、他の人たちがまだ会社に残って仕事をしているからと、空気を読んで自分も残るかもしれません。これが外国人なら、仕事が終わり次第、さっさと帰宅するでしょう。

もちろん例外はありますが、要するに、多文化組織では日本特有の常識を当てにすることができないということです。文化の違いがあっても誰でも理解できるように、相手に求めていることを明確に伝える必要があります。

給与やキャリアについてもっと率直に話し合う

日本人であろうと外国人であろうと、ほとんどの人は給与やキャリアアップに関心があります。しかし、私たちが話した多文化組織の経営者たちの共通の認識としては、外国人社員の方がそれらについてはっきりと意見を言ったり質問したりする傾向があるようです。彼らは昇給を自ら要求し、ストックオプションについて堂々と尋ねます。明確なマイルストーンを求め、昇進するには具体的にどうすればいいか知りたがります。そして自分たちの仕事でのパフォーマンスについて、より頻繁なフィードバックを求めます。

このような自己主張は、必ずしも悪いことではありません。仕事ができて、向上心が高い人によく見られる特徴です。しかし、日本人からしてみれば、その主張の強さに驚かされることもあるかもしれません。これに対する解決策は、もっと積極的に給与についてコミュニケーションを取り、社員のキャリアパスについて考えることです。多くのスタートアップは、アーリーステージの段階ではまだ人事評価制度の導入にまで思い至らないかもしれません。しかし、なるべく早い段階から月次もしくは四半期ごとの業績評価を実践することで、社員一人ひとりの目標を明確にし、継続的なフィードバックを習慣化させることができます。定期的にミーティングを行い、上に述べたような関心事についてディスカッションする時間を取ることで、突然の質問に驚かされることもだいぶ減るでしょう。また、自分たちのために時間を割いてくれるというのは、社員にとってもありがたいことです。

これらのポイントについて読み進めるうちに、多文化組織を立ち上げるのは面倒くさそう、割にあってないと思った方もいるかもしれません。実際、一筋縄ではいかないかもしれませんが、メリットは確実にあります。まず、グローバルな人材プールから採用できるようになるので、特にエンジニアなどの優秀な人材を集めやすくなります。将来的に海外展開を目指しているなら、その準備にもなります。最初からグローバルカンパニーになるのは難しいかもしれませんが、それが向いている企業にとってのアップサイドは計り知れません。

P.S. 今回のトピックに興味がある方には、以下の記事も参考になるかもしれません:

グローバル組織経営
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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