本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Keep The Degree Of Difficulty Down」を翻訳したものです。
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高飛び込み、体操、スケートなど、難易度の高い技を完璧に決めるのが勝つための条件というスポーツは多くあります。
けれど、スタートアップではそのような考え方を避け、基本的な飛び込みで完璧な入水を目指すことを私は創業者に伝えています。
私はこれまで何回も、創業者が開発したテクノロジーと市場参入戦略について説明するのを聞き、「前逆宙返り3回転、2回ひねりえび型みたいな離れ業だ、できるわけがない」と思ったものです。
スタートアップにはたくさんのリスクがつきまといます。給料の良い仕事を辞め、手にするのは現金ではなく株式です。投資家からリスクマネーの出資を受けて、顧客にはうまくいかないかもしれない新しい製品を試してもらいます。すでに高いリスクを、難易度の高いプロダクトロードマップや市場参入戦略でさらに高めるのは理にかないません。
3回あるチャンスのうち、1、2回の演技で勝負が決まる高飛び込みやスケートのようなスポーツとは違ってスタートアップは毎日、いつだってプロダクトを発表できます。
なので、自分にできるシンプルなことを選んで、それを完璧に遂行し、また次にできるシンプルなことを選んで完璧に遂行するということを積み上げた方が良いのです。
10年後、チームで成し遂げたことを振り返ったとき、「前逆宙返り3回転、2回ひねりえび型」が決まったかのように見えるかもしれません。実際にあなたが成し遂げたことはそれくらいの価値がありますし、メダルも獲得しているでしょう。ですが、それは高難易度の技を一度決めた成果ではなく、簡単な技を何千回も完璧に決めた結果なのです。
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Editorial Team / 編集部