本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Pay Attention To The Package」を翻訳したものです。Fred Wilson氏による過去の翻訳記事の一覧は、こちら。
テクノロジー投資は大きなトレンドとタイミングを知ることが重要です。
1990年代半ばにはモバイル端末が世界を大きく変えると分かっていましたが、本格的に普及したのは2007年にiPhoneが登場してからでした。
1970年代終盤にはパーソナルコンピュータが重要なテクノジーになると分かっていましたが、コンピュータが本当に「パーソナル」に使えるようなったのは、1980年代半ば、オペレーティングシステムにグラフィカル・ユーザー・インターフェースが付いてからでした。
1980年代後半から1990年代前半、インターネットは最高に面白い技術と思われていましたが、1990年代半ばにウェブブラウザが登場するまではメインストリームになりませんでした。
コンピュータサイエンスの分野では60年前から人工知能の研究が行われてきましたが、私たちの日々の生活に影響を与えるようになったのは、ウェブやモバイルのアプリケーション、最近では自動車や音声対応端末にパッケージ化されて(表からは見えなくなった)からです。
私が言いたいのは、テクノロジーはメインストリームになるずっと前から興味深い投資対象として存在していますが、いつメインストリームになるかは、いつそのテクノロジーにぴったりのパッケージが見つかるかにかかっているということです。
6、7年前からVR(仮想現実)とAR(拡張現実)は興味深く、投資可能なテクノロジーの分野です。しかし、いまだにメインストリームになっていないのは、パッケージに問題があるからです。いつの日か、どこかの会社が適切なパッケージを作り、メインストリームになると思います。そうなるまではごく少数の起業家と投資家を除き、この分野で利益を得るのは難しいでしょう。
ブロックチェーンや暗号通貨も同じような状況です。暗号通貨トークンの売買機能を除き、今あるブロックチェーンアプリケーションは不便で使いづらいものです。中央集権型のアプリケーションの方が、分散型アプリケーションよりはるかに優れています。起業家がブロックチェーンアプリケーションを楽しく簡単に使えるよう技術をパッケージ化できたとき、広く普及するでしょう。まずはゲームやコレクターズアイテムの分野で広まるのではないかと私は考えています。
つまり、既存のテクノロジーより優れたテクノロジーを開発することと、そのテクノロジーを多くの人が使えるようにすることは、まったく別の話ということです。前者は、ある意味より重要ですが(サトシ・ナカモトのホワイトペーパーのように)、後者は投資のレバレッジが利く部分と言えます。
(Fred Wilson氏による記事の翻訳一覧はこちら)
Editorial Team / 編集部