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従業員の離職率を下げる方法

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」のMBA Mondaysというシリーズの投稿を翻訳したものです。今回はこれまで数週に渡ってご紹介してきた、人材に関するシリーズ第5弾「従業員の離職率を下げる方法(原文:Retaining Your Employees)」についてご紹介します。

これまでのコンテンツは下記よりご覧いただけます。


私は投資先企業の従業員が退職するのを見るのが嫌いです。多くの理由がありますが、連続性や連帯感が失われることや、その代わりとなる人材を採用するためにどれだけの労力を費やすことになるかがわかるからです。多くの人は従業員の入れ替えを当然のものとみなし、その現実に対応するために採用体制を作り上げるのです。どのような場合でも採用体制の構築は必要ですが、私はミッションや社風を構築することで従業員を定着させ、可能な限り離職率を下げることに注力するべきだと考えています。

会社への定着率を上げるための唯一の秘訣はありませんが、大きな違いを生む方法はいくつかあります。

1)コミュニケーション:士気の低さに影響する最大の要因はコミュニケーション不足です。従業員は会社がどこに向かっているのか、それに彼らがどう貢献できるか、それはなぜか、を知る必要があります。あなたはチームといくらコミュニケーションを取っても取りすぎるということはありません。ベストプラクティスとしては、マネージャーとチームメンバーの間の頻繁な1対1ミーティング、定期的な(例えば毎週の)全体ミーティング、チームがお互いに話せる定期の手短な立席ミーティング、そしてCEOがオフィスの個室に閉じこもったままではなくフットワーク軽く、いつでもつかまえて話せる状態にある、などがあります。

2)採用プロセスを正しくする:離職率の高さは多くの場合、採用自体の失敗によるものです。従業員は、働きぶりが芳しくないと解雇を言い渡されます。あるいは従業員が仕事を楽しめず自らの意思で去ります。いずれの場合も採用した会社側のミスです。採用プロセスがまずかったのです。前回の記事は採用のベストプラクティスについてでした。それらを正しく行うよう徹底すれば採用ミスは減り、離職も減っていきます。

3)カルチャーフィット:従業員は、会社になじめないという理由で去ることもあります。実際なじまないのかもしれません。あるいはなじんでいることに気づいていないのかもしれません。「人材」に関する別の記事で、カルチャーフィットについてご紹介しました。あなたは社風の構築に努め、そのために人を雇い、従業員が幸せに働ける環境を作ることに時間をかけなければなりません。これは重要なことです。

4)社内で昇進させる:あなたの会社で最も優秀な人たちのために、キャリアパスを作りましょう。優秀な人たちは士気が高いです。彼らはもっとやりたい、もっと成長したい、もっと稼ぎたいと思っています。もしあなたがいつもマネジメント層を社外から採用しているなら、従業員はキャリアアップのためには会社を去るしかないというメッセージとして受け止めるでしょう。その過ちを犯してはいけません。マネジメント層は、可能な限り社内から採用するのです。あなたが評価しているけれどもまだ準備ができていないかもしれないあの優秀な社員に賭けてみましょう。準備を整えるために一緒に取り組み、機会を与え、そのポジションでうまくやれるよう手助けしましょう。どうしても社内の人材だけではそのポジションを埋められない場合だけ社外で探すようにしましょう。

5)自分とチーム、会社の評価を行う:これまでにもブログで様々なフィードバックのアプローチについて語りました。年に一度の360度評価に関しては、不快感を示す人が多いようで、継続的な評価の仕組みへ移行する動きが進んでいるようです。どのプロセスを採用するにしろ、あなたはチームが安心してフィードバックを行うことができるようにしなければなりません。またチームが、自ら内在化でき、それに基づき行動できるようなフィードバックを得ることができるようにしなければなりません。フィードバックは成長ゴールに結びつかなければならず、フィードバックだけでは不十分です。従業員がミスすることができ、フィードバックを得られ、そこから成長できるような社風を作るのです。私はこのアプローチがうまく機能するのを何度も見てきました。退職率が非常に低い会社を作るのに役立つでしょう。

6)チームには手厚い報酬を:スタートアップの世界は給与水準が市場よりも低い会社で多いでしょう。これは従業員が入社時にもらう、大きなエクイティ権限がその分を埋めてあまりあるという見方によるものです。この見方にはいくつか問題があります。第一に、大きなストックオプションを付与されるのは通常最初の5人か10人目までの従業員や経営陣のトップポジションに限られます。そして第二に、従業員はストックオプションを使って家賃や住宅ローンの返済や、子供を学校に通わせることや、家族旅行へ行くことはできません。あなたの会社の全てのポジションについて市場の給与水準を調べ、市場と同等、もしくは理想的にはそれ以上を従業員に払うようにしましょう。そしてチームの報酬を定期的に見直し、定期的に昇給させましょう。これはとても重要なことです。ほとんどの人は何らかの度合いで金銭面にモチベーションを見出しており、あなたがチームの報酬に関心を示さなければ、彼らもあなたの報酬に興味を示してくれません(あなたの報酬とは、あなたの会社の成功に直結するものです)。

私はこれらの6つのこと(コミュニケーションをとる、上手に採用する、カルチャーフィット、キャリアパス、アセスメント、十分な報酬)が従業員定着へのカギだと信じています。これら全てに注力しなければなりません。このうち一つだけをうまくやっても助けにはなりません。従業員の離職率を測定し、時間をかけて改善を試みてください。健全な会社では毎年5〜10%以上の従業員が辞めることはありません。そして長期的に成功するためには、健全でいなければなりません。

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