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WordPressが技術負債になった話(クレジットエンジン):スタートアップ開発しくじり先生(5)

スタートアップの開発の失敗を赤裸々に語るライトニングトークに8社のCTOやエンジニア、プロダクトマネージャーが登壇。本記事では、クレジットエンジン株式会社CTOの麻生隆道氏による「WordPressが技術負債になった話」と題したトークの内容をお伝えします。

※本記事はCoral Capital出資先約80社からなるスタートアップコミュニティー「Coral Family」のうち、CTO・エンジニアが定期的に集まるCoral Developers。その中から生まれたイベント「スタートアップ開発しくじり先生LT」の発表を記事化したものです。

私、麻生はクレジットエンジンに入社して2年半ほどになります。バックエンド、フロントエンド、インフラを全部担当していて、CTOをやっています。前職はキヤノンで、複合機の組み込みソフトウェアを12年ほど作っていました。

クレジットエンジンのミッションは「“かす”をかえる、“かりる”をかえる」。中小事業者向けの融資プラットフォームを作っています。スモールビジネスローンの自社サービスLENDYで培ったノウハウをプラットフォームの形で金融機関などに提供しています。

「今からWordPressを学びたくない」

今日はWordPressが技術負債になった話をします。WordPressって知ってますか? というか、知ってますよね。PHPで書かれたCMS(コンテンツ管理システム)で、ブログサイトを作るなら、ほぼ一択かと思います。

クレジットエンジンでも、創業当初からコーポレートサイトでWordPressを使っていました。創業当時はリソースがなく、委託の人に作ってもらっていました。私見ですが、特徴は謎のローディングで3秒ほど待たされること、その割に内容が薄いことでした。

なぜWordPressが技術負債になったのか。結論を言うと、社内では誰もWordPressに詳しくなく、それに伴う事象もいくつか起こっていました。例えば住所変更をしたいのに、変更箇所を探すのに2時間かかりました。サービス紹介を入れたいのに、やり方が分からず静的ページで作りました。デザイン変更をしたいのに、誰もやりたがりません。Vueを使っているフロントエンドエンジニアにとっては「今からWordPressを学びたくない」という気持ちがありました。

教訓:古くて有名な技術より、チームが今やりたい技術を選ぶ

そこで学んだことは、有名な技術やフレームワークでも、詳しい人がいないなら採用しない、あるいは離れてもいい、ということです。

私たちは技術負債を解消しました。デザインは変わり、謎のロードがなくなり最高のスピードを実現した、と自分たちでは思っています。内容も充実してきました。

技術的には、Nust.jsとStrapiを採用しています。

WordPressを捨てて最新技術へ

Nuxt.jsは、Vue.jsの拡張版みたいなものです。みんなが触れるように、フロントエンドでVue.jsを採用したかった。またコーポレートサイトなので、SEOの観点でSSR(サーバーサイドレンダリング)ができるものを使いたかった。

ヘッドレスCMSが最近流行っていて、Strapiはその1つです。SaaS型ではなく、オープンソースソフトウェアを使って自前サイトを立てられる低コストCMSです。コーポレートサイトには今後もいろいろな要望が出てきそうでした。そこで1つの製品にロックインされるとまずいかなと、オープンソースのツールを選びました。

やり残していることはまだあります。技術的にやりたいことはJamstackです(JavaScript、API、Markupを使ってサイト構築をする、CMSと異なるアプローチ)。事前にコンパイルして静的HTMLにしてロードでき、Webサイトをもっと速くもっと安全に作れるようになります。また最近、Nuxt.jsとStrapiがタッグを組んでJamstackサイトを作りやすくする、とアナウンスされているので、期待してみようかと思います。

(執筆:星 暁雄)


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