Coral Capitalは6月9日、「プロダクトマネージャー(PdM)が抱える課題LT」と題したオンラインイベントを開催。Coral Capital出資先の中から7社のスタートアップが参加し、各社のプロダクトマネージャーが感じている課題や、現在取り組んでいる施策を赤裸々に語りました。
Zoomで実施したイベントには、現役もしくは今後プロダクトマネージャーへの転身を考えている人など約150人が参加し、登壇者が語るリアルな実情に耳を傾けました。本記事では、クレジットエンジン株式会社の向山裕介氏による、「融資のデジタル化に立ちはだかるプロダクト課題」と題したライトニングトークの内容をお伝えします。
※情報開示:Coral Capitalはクレジットエンジンの株主です。
クレジットエンジンは 「”かす”をかえる。”かりる”をかえる。」をミッションに、資金調達・融資に関する課題をテクノロジーとデータで解決することを目指しています。
我々の事業は、2016年に会社設立後(現: LENDY株式会社)、中小事業者向けに「LENDY」というオンライン融資サービスを開始するところからスタートしました。LENDYは自社がレンディングの事業者として、中小企業にオンライン完結の融資を提供するサービスです。
その後、LENDYでの実績をベースに、金融機関や事業会社が自分たちのブランドでオンライン融資を開始・運用できる、オンラインレンディングプラットフォームを展開していっています。2019年に本サービスの提供を開始し、大手の銀行や地方銀行・事業会社に対して複数の導入実績を積み重ねています。
PdMの悩み「機能性を定義する意思決定の難易度が高くなりがち」
プロダクトチームがオンラインレンディングプラットフォームの開発で日々直面している課題の例としては、導入企業によってニーズが多種多様なことと、それらのニーズに対してどのような形でプロダクトを設計していくか、というものがあります。
例えばSMB(中小企業)向け融資というプロダクトの括りの中でも、導入する金融機関によって細かくニーズが変わってきます。実現したい融資申し込みのプロセスや審査のタイミング、画面に表示したい項目などのニーズが異なりますし、お客様に登録してもらいたい情報も、導入企業によってさまざまです。
導入先のニーズが多種多様というのはB2Bのサービスではよくあることですが、融資というサービスの特性上、各ケースにおいて相反するニーズでもそれぞれ必然性があり、いずれも実現しなければ導入自体のハードルになり得る、といったものも存在します。
これに対して我々は、導入先ごとに切り替えられる設定を用意する、という考え方を取っており、そうした考え方を実現できるプロダクトの作りになっています。
ただし、プロダクトマネージャーの立場としては、一つひとつのニーズに対して、完全に標準化して各企業に対して同一の機能性を提供するのか、設定で切り替えられるようにして複数の標準パターンを用意するのか、完全個別ニーズとして標準機能からは切り離すのか、といったような判断を常に迫られるため、意思決定の難易度が高くなりがちです。
また、我々がターゲットとしているのは、中小企業向け融資だけでなく、リースや債権回収なども含む幅広い領域です。
そのため、自ずと複数の商品性が必要とされてきますが、各商品性において共通の機能性も多いため、複数商品の共通化をおこない、プロダクト全体の思想統一や高い品質と開発効率性を担保しています。
ただ、そうすることにより、1つの機能性の影響範囲が広くなるため、ここでも同じように意思決定の難易度が上がっていってしまう、といった悩みは出てきます。
また、融資という専門性が高めのドメインであることもハードルを上げている一因ではあります。
そのような課題や悩みがありつつも、幸いなことに社内にはそれぞれの職種で、高い専門性と問題解決能力を持ったメンバーが集まってきており、「”かす”をかえる。”かりる”をかえる。」というミッションに向けて、日々仲間と一緒に奮闘しています。
最後になりますが、融資という大きな領域における大きな課題に対して、理想の実現を目指し、プロダクトの力でともに解決していってくれる仲間を絶賛募集中です。少しでもご興味を持っていただいた方はぜひお気軽にご連絡ください。
・PdM募集: https://www.wantedly.com/projects/587189
・PjM募集: https://www.wantedly.com/projects/605383
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Editorial Team / 編集部